閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

母(1963)

新藤の女性観の根本をなす母、姉、妻という女の三つの側面が乙羽信子を通して描き出される。音羽演じる妻が三番目の夫を家内の狭くて雑然とした印刷所で受け入れる場面がすごくいい。夫婦間のセックスの意味があからさまに表現される。殿泰司演じる寡黙な夫のあまりの善良さにも感動した。乙羽信子はもう中年女ではあるが、なんとも言えぬ可愛らしさは保持したまま。優しく可愛い姉がいたために、ダメになってしまう弟というのも、いかにも現実にありそうだ。新藤は本当に母と姉に可愛がられたんだなと思う。