- 作:オスカー・ワイルド
- 翻訳:平野啓一郎
- 演出:宮本亜門
- 美術:伊藤雅子
- 照明:西川園代
- 音楽:内橋和久
- 音響:渡邉邦男
- ヘアメイク:川端富生
- 演出助手:山田美紀
- 舞台監督:瀬崎将孝
- 出演:多部未華子、成河、麻実れい、奥田瑛二
- 劇場:初台 新国立劇場中劇場
- 評価:☆☆☆★
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平野啓一郎による日常口語体の『サロメ』は、のっぺりとして説明的過ぎるように感じられ物足りない。3年ほど前に日夏耿之介の絢爛装飾過多の訳を、古典戯曲を読む会で音読したときの体験が強烈すぎたからかもしれないが。多部未華子を愛でる芝居だった。安い二階席で見たのだが、一階正面前よりの座席で見るべきだった。多部美香子のサロメはとても魅力的だ。暗さをのある吊り目の視線の吸引力、むき出しの肩のラインの美しさ、小さなバスト、頑なで傲慢で誇り高い処女の王女のイメージを具現している。これは私がイメージするサロメ像と近い。パゾリーニのキリスト受難の映画、『奇跡の丘』に少しだけ出てきたサロメがこんな雰囲気の少女だったように思う。衣装、美術の現代化はそれ程効果的だとは私は思わなかった。血で舞台一面が満たされる最後の場面のビジュアルは印象的だった。奥田瑛二の芝居には疑問符がつく。オーバー演技が浮き上がっていた。
サロメのダンスの場面、どんなスペクタクルを見せてくれるかと期待していたのだが、この場面は踊りを見せずにさらっと流したことに不満を覚えた。