閑人手帖

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ぼくも、わたしも、寄席で大笑い!!その13 柳家花緑

http://mitaka.jpn.org/ticket/1207150/

  • 会場:三鷹芸術文化センター 星のホール
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三鷹芸術文化センターに柳家花緑師匠の親子寄席に娘と一緒に行った。花緑師匠を聞くのはこれが初めてである。大人二千円、子供一千円というリーズナブルなチケット代だが、公演時間はたっぷり二時間あった。江戸屋小猫の動物鳴き真似芸が落語のあいだに入る。
予想していたよりはるかに楽しい寄席となった。最初は花緑師匠で、一時間近くかけて丁寧に客席を暖めて噺を聞く空気を作っていく。客席には小学校低学年の子供もかなりいるので、お話だけで観客の関心をひきつけるのはかなり大変そうである。最初は二十分ほど、ダジャレネタでえんえん繫ぐ。子供たちは最初はダジャレを喜んでいたけれど、段々反応が小さくなっていく。ダジャレネタでつなぎながら会場の空気を読んでいるような感じがあった。次ぎにそばの食べ方、焼き芋の食べ方など落語の定番パントマイムを披露し、その後で会場の子供数人を高座にあげ、先ほど師匠が手本を見せたパントマイムをやらせた。小学校中学年、高学年、中学生、小学校低学年の子が高座に上がったが、それぞれが独自の趣向を物真似に組み込む芸達者な子供ばかり。仕込みだったかもしれないが、師匠の軽妙な突っ込みもあって観客席はおおい盛り上がった。その盛り上がったところで前半を終えるかと思ったが、その熱気の残る中で「寿限無」をさらりとやって前半を終えた。

仲入り後は動物鳴き真似芸の江戸屋小猫が登場。この動物鳴き真似芸は曾祖父から代々受け継いでいるものだそうだ。月に十日は動物園に通い、様々な動物の鳴き声に耳を傾けるという小猫の物真似芸は、流石に思わず唸るほど精巧だった。といっても実際にはわれわれが耳にしたことのないような動物の鳴き真似芸が多かったのだけれど、それを話術で聞かせ、納得させてしまう。話し方は淡々としていて品格がある。いやらしさがない。三十分ほどの時間、さまざまな動物の鳴き声物真似を聞いた。子供も興味津々だったが、私も思いの外、動物物真似芸の至芸に感嘆してしまった。
会場の雰囲気はいい感じの一体感に包まれた。そのなかで花緑師匠は締めの「火焔太鼓」でさらに盛り上げる。観客の心を完全に掴んでいるような感じがあった。適宜、スマートに古い言葉の説明を加えながら、「火焔太鼓」を丁寧にかつ爽快なスピード感とともに演じ、観客席は大いに沸いた。楽しい会だった。