ITI紛争地域から生まれた演劇シリーズ4・専用HP
『ほとりで』
- 作:クロディーヌ・ガレア
- 訳:佐藤康
- 演出:深寅芥
- 出演:宮地成子
- 評価:☆☆☆
『Destination』
- 作:プラディット・プラサートーン
- 訳:千徳美穂
- 演出:鈴木アツト
- 出演:加藤大騎、金恵玲、実近順次、真篠剛、松浦佐知子、吉田俊大
- 評価:☆☆
- 劇場:池袋 東京芸術劇場 アトリエイースト
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マグレブ出身の両親を持つフランス人作家、クロディーヌ・ガレアの独白劇『ほとりで』と体の作家プラサートーンの『Destination』の二本立て。
二本とも私は面白いとは思わなかった。ガレアの作品はイラクのアブグレイブ収容所でのアメリカ人女性兵士による捕虜虐待についてのもの。小柄の若い女性兵士が、裸のイラク人捕虜の首にヒモをまきつけ、犬を連れ回すように引きずっている報道写真を題材に、その写真を見ている人物の妄想を語るという趣向の。語られる妄想は少女のようにも見える女性兵士に対する性的な欲望を投影したものが多かった。12、3歳の少女に朗読させれば、スリリングだったかもしれない。さらにその少女が脱いだりしていればなおさら。見てはならないおぞましいもの、しかし強烈に見たいという欲望を喚起させるもの、そうした存在を役者の身体と語りによって提示できなければ、単なるそらぞらしい朗読だ。
タイの民主化運動にかかわった若者たちと軍部の弾圧を回想形式で提示する『Destination』はさらに私の興味をひかない内容だった。私がタイの民主化運動についてほとんど知識がなかったということも原因だろう。