閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

『ロシュフォールの恋人たち』『シェルブールの雨傘』

ロシュフォールの恋人たち(1966) LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT

シェルブールの雨傘(1963)LES PARAPLUIES DE CHERBOURG

早稲田松竹ジャック・ドゥミ、カトリーヌ・ドゥヌーヴのミュージカルの代表作の上映があったので見に行った。『ロシュフォールの恋人たち』は大分前にビデオで見たきりだったように思う。大西洋岸の小さな港町、ロシュフォールに住む作曲家とバレエ教師の双子姉妹を中心としたいくつかのロマンチックな恋のエピソードが軽やかに重なり合う。町の風景、音楽、エピソードのそれぞれの陽気な軽やかさが心地よい。でも音楽は私の好みからはかなりずれる。ドゥヌーヴ、ドルレアックの姉妹はこの当時20代前半だったらしいが、今の感覚からすると老け顔に見える。双子姉妹の母親が切りもりするカフェの常連客だった感じのいい老人が、バラバラ殺人を起こすという唐突さがもたらす不条理感がいい。

 

シェルブールの雨傘』はここ数年大学の授業でも使っているので、今更という感じもあったがやはりロマンチックで幻想的な色彩映像、音楽と身も蓋もない物語展開のレアリズムの対比が素晴らしい。ギィのおばさんの世話をしていた地味で大人しいマドレーヌが、おばさんの死後、ギィの愛を確保した途端、派手なイケイケ女に変貌してしまうカフェの場面が凄い。