閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

『トム・アット・ザ・ファーム』(2013)

トム・アット・ザ・ファーム(2013)

Tom à la ferme

  • 上映時間 102分
  • 製作国 カナダ/フランス
  • 初公開年月 2014/10/25
  • 監督: グザヴィエ・ドラン 
  • 製作: ナタナエル・カルミッツ、シャルル・ジリベール、グザヴィエ・ドラン 
  • 製作総指揮: ナンシー・グラン 
  • 原作戯曲: ミシェル・マルク・ブシャール 
  • 脚本: グザヴィエ・ドラン、ミシェル・マルク・ブシャール 
  • 撮影: アンドレ・トュルパン 
  • 美術: コロンブ・ラビ 
  • 編集: グザヴィエ・ドラン 
  • 音楽: ガブリエル・ヤレド 
  • 出演: グザヴィエ・ドラン(トム)、ピエール=イヴ・カルディナル(フランシス)、エヴリーヌ・ブロシュ(サラ)、リズ・ロワ(アガット)
  • 評価:☆☆☆☆★
  • 映画館:高田馬場 早稲田松竹

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 激しい暴力と恫喝を行う兄に、恋人の葬儀にやってきたトム、トムに呼び出されたサラ、そして母親のアガットが捕らえられてしまう。開放的で広大な農場は、彼らを閉じ込める牢獄になる。この場所自体が呪われた場所であり、そこに一度入り込んでしまうとそこから抜け出すのは難しい。

 暴力と恫喝のフランシスの人物像は複雑だ。誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者が、犯人と長時間過ごすことで、犯人に対して過度の同情や好意等を抱くストックホルム症候群とも違うように思う。この男のまがまがしさには人を引きつけてしまう不可解な魅力がある。

 戯曲、映像とも象徴性が高い作品。戯曲をもう一度丁寧に読み返して見たい。映画もその上でまた再見したい。