サウルの息子(2015)SAUL FIA
- 上映時間:107分
- 製作国:ハンガリー
- 初公開年月 2016/01/23
- 監督: ネメシュ・ラースロー
- 脚本: ネメシュ・ラースロー 、クララ・ロワイエ
- 撮影: エルデーイ・マーチャーシュ
- 音楽: メリシュ・ラースロー
- 出演: ルーリグ・ゲーザ(サウル)
- 映画館:ヒューマントラストシネマ有楽町
- 評価:☆☆☆☆
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アウシュビッツ強制収容所で同胞たちをガス室に送り、その死体処理を行う任務を行う「ゾンダーコマンド」のサウルが、死体のなかに自分の「息子」を見つける。サウルはその遺体をユダヤ式に葬ることに異常なこだわりをみせ、危険や困難を省みず、葬儀を執り行うことのできるラビを収容所のなかで探し回る。
アウシュビッツ強制収容所での非人道的なユダヤ人虐殺の日々のなかで、ゾンダーコマンドのサウルは、絶望と諦念のなかで、人間としての感情を殺し、淡々と作業を行う。「息子」の埋葬という行為への狂気じみたこだわりの一点のみにサウルの人間性が集約される。彼の異常な行動の背景で展開するむごたらしく、救いのない風景は、ピントのぼけたぼんやりとした映像を通してより一層、生々しく伝わってくる。
地獄の情景の容赦なさに、見終わった後げっそりした気分になる。見てよかったような、見ないほうがよかったような。