- 監督・脚本・編集:岡 太地
- 出演:金子岳憲、小西麗、末延ゆうひ、金田侑生、古賀勇希、さほ、川島信義、南部映次、青坂匡、小畑はづき、桑名悠、笹原万容、横須賀一巧、川瀬陽太
- 撮影:平野晋吾
- プロデューサー:市橋浩治
- 企画・製作:ENBUゼミナール
- 110分
- 映画館:新宿 ケーズシネマ
- 評価:☆☆☆★
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川越街道沿線に15年以上住んでいる者としては、この映画が描き出す時代遅れの昭和の香り、すえた頽廃と絶望、やるせなさ、閉塞感、永続的で宿命的なダサさ、泥臭さは、まさに川越街道沿線地域の属性であることを認めざるを得ない。こちらの予想をほぼ裏切ることのない映画だった。川越街道から洒落た恋愛ドラマが生まれるわけがない。この街道の終着点である池袋は、ダサい郊外の荒廃と絶望の吹きだまりのような場所だ。もっともこれこそが川越街道の味わいなのだが。下町っぽい叙情がないわけではない。しかし川越街道沿いの町の叙情味は、殺伐さと紙一重だ。
川越街道とほぼ並行して走る東武東上線に深夜乗ってみるがいい。まさにこの映画に出てきたような濃厚で屈折したオーラを発する人たちがいっぱいいる。現代の東京における巨大な長屋のような庶民的な香り漂う地域なのだ。