- 上映時間 92分
- 製作国 韓国
- 初公開年月 2016/12/17
- ジャンル ドラマ/コメディ/ファンタジー
- 監督: クォン・オグァン
- 製作総指揮: チョン・テソン、イ・チャンドン
- 脚本: クォン・オグァン
- 撮影: キム・テス
- 音楽: チョン・ヒョンス
- 出演: イ・グァンス、イ・チョニ、パク・ボヨン
- 映画館:シネマート新宿
- 評価:☆☆☆★
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シネマ—ト新宿でポーランド映画祭に通っていたときに、予告篇で流れていて面白そうだったので見に行った。娘も見たいと言っていたので一緒に見に行った。
新薬臨床実験の副作用で魚人間になってしまったフリーターの若い男の話。カフカの『変身』の現代韓国版バリエーションとも言えるような風刺劇だった。ただ喜劇的な要素は薄い。フィッシュマンは迷走する現代韓国社会のなかで翻弄される韓国人の若者の象徴のような存在だ。
フィッシュマンは映画のなかであまり語らない。彼は寡黙で自己主張をしない。自分をとりまく動きに受動的にいやおうなく流されてしまう存在だ。ぎょろ目の魚頭の彼は、その表情で自分の感情を伝えることもできない。それが何ともいえずもの悲しい。
フィッシュマンを取材するテレビ局正規雇用を目指す男性の視点から、フィッシュマンの騒動を通して、韓国社会が抱える問題が浮かび上がってくる。
展開のリズムがたるくて、語り口も低温なので、若干退屈してしまう場面もあり、会心の作とは言えない。しかし映画全編に漂う韓国の若者たちの諦念、やるせなさ、怒りに胸がざわざわした。フィッシュマンの周囲の人間たちのエゴイズム、一人の人物が自分のなかに抱え持つ善人でもあり悪人でもあるような両義性をしっかり提示していたのもよかった。
フィッシュマンはCGではなく被り物とのこと。そのビジュアル・インパクトはなかなかのもの。
毒舌で、はっきり自分の意志を表明する気の強い女性を演じていたパク・ボヨンがよかった。丸顔でコケットな顔立ちの女優だ。