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- 作;ジェーリコ・フバッチ
- 演出・構成:杉山剛志
- 翻訳:高橋ブランカ
- 美術:加藤ちか
- 照明:大野道乃
- 舞台監督:玉城忠幸
- 音響:牧野宏美
- 衣裳:杉野明善
- ヘアメイク:橘房図
- 宣伝美術:ミツヤスカナ
- 制作:高橋俊也(THEATRE-THEATER)
- 出演:蔡チェヘミ(演劇集団 ア・ラ・プラス)、西村清孝(リベルタ)、辻しのぶ 、服部晃大 、松田崇
- 上演時間:1時間45分
- 劇場:目白 シアター風姿花伝
- 評価:☆☆☆☆
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セルビアの作家の戯曲。ベオグラードの16階建のマンションで起こる三つのエピソードのオムニバス劇。最初のエピソードが屋上での出来事、38歳の5人の人物の物語。次が最上階にある警視副総監ミランの部屋での32歳の5人の人物の物語。最後がビル1階のバーの25歳の5人の物語。今村昌平の映画を連想させる重厚な喜劇だった。
男性3人、女性2人の5人の俳優がそれぞれ、各エピソードで年齢も雰囲気も異なる3人の人物を演じる。つまり全部で15役の人物が登場することになる。
舞台奥から客席に向かって傾斜している黄色く塗られた舞台(俳優たちはその傾斜舞台に数カ所ある穴の上げ板から出てくる)、建物の三層構造と各エピソードの人物相関の平行性、各幕で同じ俳優がまったく雰囲気の異なる人物を早替わりのように演じる面白さなど、さまざまな趣向で見せる芝居だ。ユーゴ内戦で国を離れた人たちがまたベオグラードに戻ってきたという設定が三幕で共通している。エキセントリックな人物たちに漂う頽廃と絶望には、ユーゴ内戦後のセルビアの重苦しい状況が反映されているはずだ。しかし会話のリズムがいまひとつ。特に2幕は人間関係の状況がわかりにくくて眠たくなったところがあった。
俳優の芝居は弾けるようなエネルギーに満ちている。リアリズムではなく、戯画的にエキセントリックな人物を思いきり、堂々と演じきっている。身体の動きも面白い。方言の取り入れ方も違和感がない。
美術の面白さ、演出や脚本上の趣向、俳優の演技はいいが、脚本の台詞のやりとりが冗長でわかりにくいところがある。脚本はテーマ的にも日本の今の私の現実からは遠く感じられ、今一つのれないまま三幕目まで見ていたのだが、この作品のすごさがわかるのは最後の最後だった。三つのエピソードをまとめる脚本上の仕掛けがある。その仕掛けのアイディア自体はそんなに独創的ではないのだが、このとっちらかった三つの物語にすっと芯が通り、オムニバスの重喜劇に一気に奥行きがもたらされ、大きな物語が立ち現れる。その終幕の仕掛けが感動的だった。