閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

【映画】さよなら、退屈なレオニー(2018)

http://sayonara-leonie.com/
監督:セバスチャン・ピロット

製作:ベルナデット・ペイヤール、マルク・デーグル
脚本:セバスチャン・ピロット

撮影ミシェル・ラ・ブー
キャスト:カレル・トレンブレイ、ピエール=リュック・ブリラント、フランソワ・パピノー、リュック・ピカール、マリー=フランス・マルコット

原題 :La disparition des lucioles
製作年:2018年
製作国: カナダ
上映時間:96分
映画館:新宿武蔵野館

評価:☆☆☆☆

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ベック映画ということで見に行った。
ケベック州の海辺の田舎町、いかにも変化が乏しくて退屈そうな町に住む17歳の少女レオニの物語。
両親は最近離婚して、彼女は母親と母親の彼氏と一緒に住んでいる。父親を信頼していたが、父親は普段は遠く離れた所で働いていて、何ヶ月に一度しか会えない。両親の離婚はレオニーとって大きなショックなのだが、その動揺を誰も受け止めてくれないことを知っている彼女は、早熟でシニカルな態度で自分の内面を守ろうとしているようだ。
その彼女が興味を持ったのは、町の安レストランで知り合った年上の冴えない男、スティーヴだった。ギターの個人教授の彼は、母親と二人でひっそりと暮らしている。彼も町の人たちから浮いていて、孤独な存在だ。スティーヴはこの町と孤独から抜け出すすべも知らないし、その気力もない。レオニーはスティーヴの孤独に安らぎを感じつつ、退屈な生活としっかり向き合い、とにかくそれを何とかしようする気力がある。彼女は退廃に沈み込みそうになりながらもそれに溺れることはない。自分の若さを信じている。
主演のカレル・トランブレの演技が素晴らしい。天才。鬱屈した青春期にある女性を好演。
レオニーのパートナーであるスティーヴがミュージシャンということもあり、音楽も豊かな青春映画だった。
ティーヴがレオニーと恋人になるのかなあと思いながら見ていたら、心が通じ合い、恋人同士になりそうな雰囲気を漂わせながら、プラトニックなままだった。この我慢加減あって生じる緊張感がとてもいい。もしスティーヴとレオニーが気分で恋人になってしまったら、この映画は映画にはなっていないだろう。
あそこで一気にレオニーを自分のモノにできないスティーヴはダメ男だ。
原題、「ホタルがいなくなってしまった」はちょっと気取りすぎ、狙いすぎな感じがする。