上演時間は80分ほど。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、客席は50%になるようになっていたが、一席ごとに空座席を作るのではなく、一人観劇以外の人は並んで座れるようになっていた。
圧倒的な美しさに満ちた舞台だった。17人の身体が一つの有機物のように動き、優雅に変形していく。舞台上でなめらかな身体の動きが作り出すビジュアルの美しさは圧巻だ。そして堂々たるボスキャラの麿赤兒は途中からゆったりと登場し、カラフルで異形の妖精たちがうごめく舞台空間を制御していく。中盤を過ぎた頃で、舞台両脇から大量のシャボン玉が放出され、空間を埋めていく。そして最後の場面は、天井に持ち上げられた赤い綱を方で揺らす麿赤兒がひとり舞台上にいる。その後はよろめくような動きの麿赤兒のソロダンスの荘厳さに引き込まれてしまう。
濃厚で詩的幻想のメタモルフォーゼの世界。こんな舞台を見ると元気が出る。