フランスのリセを舞台にした学園もの。敬虔なムスリムで、聡明な黒人女子高生、イマネが主人公。白人の多い学校のなかで彼女はマイノリティだ。しかし彼女は女の子の仲良しグループに溶け込み、充実した学園生活を送っている。彼女の友だちはイマネのイスラム的な価値観に理解を示し、彼女を受け入れている。
しかしたとえ多様性を認め、マイノリティの存在を尊重する姿勢がある環境であっても、マイノリティとして生きることは大変なストレスがかかる。このシーズンでは、イマネの恋愛がドラマの軸になっていて、イスラム的価値観と今時のフランスの若者文化のなかでイマネが激しく揺さぶられ、葛藤する様子が丁寧に描かれている。イマネはなまじ「いい子チャン」なので、この折り合いをつけるのに、余計苦しんでしまうのだ。
告白を受け入れ、愛を表明することが、イマネにとってどれほど大きい冒険だったことか。葛藤を乗り越え、イマネが成長する瞬間を捉えた最終話のラストは感動的だった。
しかし、イマネに感情移入し、あのラストを感動的だと思ってしまうのは、見ているこちらがやはり非=イスラム的価値観の持ち主であるからかもしれない。
わかり合えるようでわかり合えない部分はやはりあるのだろうな、とも思った。