閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

旅芸人の記録(1975)

O THIASSOS THE TRAVELLING PLAYERS

  • 上映時間:232分
  • 製作国:ギリシャ
  • 初公開年月:1979/08/
  • 監督:テオ・アンゲロプロス
  • 製作:ヨルゴス・パパリオス
  • 脚本:テオ・アンゲロプロス
  • 撮影:ジョルゴス・アルヴァニティス
  • 音楽:ルキアノス・キライドニス
  • 出演:エヴァ・コタマニドゥ、ペトロス・ザルカディスストラトス・パヒス、キリアトス・カトリヴァノス
  • 映画館:池袋 新文芸座
  • 評価:☆☆☆☆☆
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アンゲロプロスの最高傑作とする人も多い作品だが、これまで未見だった。その4時間という長さゆえに劇場上映があっても観に行くのを躊躇していたのだ。ビデオやDVDでは見通すことができるような気がしない。
第二次世界大戦前後のギリシャの政治状況を、旅芸人の一座を中心に描き出す叙事詩的な作品。旅芸人の一座の人物は、ギリシャ悲劇の登場人物であるオレステスとエレクトラの物語に重ねられ、古代悲劇で描き出された彼らの運命が、この映画の登場人物にも重ねられている。ゆったりとしたリズムで展開する叙事詩的物語の壮大なスケールは圧巻であり、絶妙の構図で切り取られた絵画的情景の数々の美しさにも息を呑む。悲痛で無慈悲で、それゆえに美しい。古典劇の悲劇的世界が二十世紀ギリシャ政治・社会のなかでアクチュアルな問題として浮かび上がる。5/5-5/11にまた早稲田松竹でこの作品の上映があるらしい。その時にまた見たい。