閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

時間空費の罪悪感

パリ滞在も五日目に入るというのに充実感に乏しい日々.環境不適応ストレスのためか胃腸の調子もいまひとつ.この不具合は結局滞在中ずっと続く.一日に何回も便意を感じ,腹にガスがたまるという症状.
今日は午後から図書館に予約を入れている.図書館が開館していない午前中は暇をもてあます.午前10時過ぎにホテルを出て近所のスーパーでコップ等を購入.
カルト・オランジュを購入し,特にあてのないままSt.Michelまでメトロで行く.St.MichelのGibert le Jeuneで,中世文学,フランス語史関連の本を何冊か購入.
RERでBNFに.図書館に隣接してある映画館のカフェでサンドイッチの食事を取ると,またおなかにガスがたまってきた.うっとうしいことこの上ない.
食事のあと,カフェでコルネイユの『嘘つき男』を読む.タイトルの通り,その場しのぎの嘘を並びたてる男が主人公の話だが,彼は嘘をつくことが使命であるかのように,特に必要でもない状況でも嘘をつく.そして嘘をねつ造しつづけることに何の罪悪感も感じないどころか,誇りにさえ思っているようである.嘘をつくこと自体がこの男の存在理由なのだ.嘘に嘘を重ねることで当然窮地に陥るが反省する気配はみじんもなくさらに嘘を重ねる.奇矯きわまる人物だが,上流社会の社交に対する強烈な戯画,風刺を含んでいるようにも思える.ここまで徹底した変人になると読んでいて爽快ですらある.極端でいびつな人物ながら筋は通しているのだ.思ったよりも面白い作品だが,台詞の語彙や表現はやはり簡単ではない.おそらく劇場ではほとんど聞き取れないように思う.
午後二時半ごろ図書館に入る.午後六時まで『アラスのクルトワ』の訳に没頭.BNFの研究階での勉強は本当によく集中でき,日本の自宅とは比べものにならないほどはかどる.午後七時,大学都市の駅で友人夫妻と合流.バスに乗ってその友人が推薦するクスクス屋に行くが今日はしまっていた.中華街に移動する.中華料理はおいしかったのが,店が混雑していて早く追い出したかったのか,まだ食べている途中なのに皿を下げられる.文句を言ったがわからないふりをされる.不愉快ですぐに店を出る.
大学都市に戻り,大学都市に住む友人の部屋でしばし歓談.