閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

2023/06/18 平原演劇祭2023 #餃子学会@宮代町進修館食堂

 

2021年の年末の崖転落事故以来、平原演劇祭主宰の高野竜さんは一気に衰弱してしまった。年齢は私とほぼ同じ50代半ばなのだが。公演ペースは依然、月に2回ぐらいのハイペースは維持されているものの、2023年に入ってからは、とにかく高野さんの身体機能の低下が著しいようだ。

©コオリヤマ氏のデザインのTシャツを今日は着ていった。そのTシャツに書いてある文句を見て、高野さんの奥さんがそれをもじり、「落ちる体力、減る体重」とつぶやいた。高野さんの健康状態について言っているのだ。

今回の餃子学会については、開催日が近づいても、現在、平原演劇祭のほぼ唯一の広報告知ツールであるTwitterの投稿があまりなかった。5月前半に予定されていた平原演劇祭が高野竜さんの体調悪化、入院のため、開催中止となった。#餃子学会についても実施されるのかどうか不安になったので、6月15日にtwitterで問い合わせた。

すると「やりますよw 私が倒れててもやりますよww」という返事がすぐに返ってきた。#餃子学会の会場の宮代町進修館は、数年前までの平原演劇祭の本拠地の一つといっていい場所で、これまで何回も足を運んでいる。宮代町のコミュニティセンターである進修館は、回廊のある半円状の独創的な設計の建築物だ。この会場の食堂で催された平原演劇祭で私が忘れられないのは、当時小学生だった娘といった2011年秋の「鰤の会」だ。私が参加した数多くの平原演劇祭のなかでも最も印象深い公演で、今回久々に進修館食堂を会場とする食事演劇が行われるということで、2011年の「鰤の会」のことを思い出した。

 

otium.hateblo.jp

「鰤の会」では、高野竜が大きな鰤を会場でさばき、それをみんなで食べた。あの頃は平原演劇祭に通い始めたばかりだった。娘は今、大学生となり、私も12年分、年を取った。そして竜さんももちろん年をとったのだけれど、この2年ほどのあいだに急速に衰弱してしまった。今日の竜さんもゆらゆら不安定に動きながら、何とか気力をふりしぼって会場にやってきたという様子を見ると、2011年の元気だった高野竜を思い浮かべてしまい、余計寂しい気持ちになった。

正午から開始すると告知されていたので、正午ちょっと前に進修館に到着したのだが、食堂は暗く、人がいない。もしかすると開始時刻を勘違いして、早く到着してしまったのかと思い、twitterを確認するが、やはり正午開始になっている。どうしたものかと進修館の敷地内をうろうろしていると、今日の出演者の最中さんがやって来た。そして正午10分ごろに高野さんがようやく現れた。赤野さんは進修館の事務所にフラフラとした足どりで向かい、食堂使用の手続きを行った。

今回の#餃子学会はそもそもtwitterでの告知があまり活発に行われていなかった。この様子では下手すると観客は私ひとりだけなのかもしれないと思ったのだが、実際には今回はここ2年ぐらいの平原演劇祭では一番盛況で、25名ほどの観客が参加した。しかしその観客の大半は、小学校低学年以下の子供とその親(父親も3名ほどいた)という平原演劇祭とはこれまで縁がなかったであろう人たちだった。

今日の餃子作りのイベントの餃子マスターは、高野さんの妹さんだ。数年前まで平原演劇祭で何回かお会いしたことがある。今日の親子連れ観客(?)は、平原演劇祭目当てではなく、高野さんの妹さん企画の親子餃子イベントということで集まった人たちだろう。twitterを見ると、「みんなのはらっぱ」という表現集団のメンバーが参加するとあったので、高野竜の妹さんがこのグループのメンバ—なのかもしれない。子供は乳児から小学校2年生ぐらいまで6−7名いた。

餃子作りは高野妹が中心となって行った。高野竜さんは、最初に「皮を作る班と餡を作る班に分けます」と説明するのが精一杯で、参加者が餃子作りに励んでいる時間の大半は食堂外にあるベンチで昏睡状態だった。

私はなんとなく餡班へ。今回の観客のなかでは、数少ない平原演劇祭常連観客なのだけど、他はほとんど親子連れなので、得体の知れないおじさんとして孤立している。まず大量のキャベツの千切りを作り、それを大鍋で短時間煮て、しなしなにする。あとはネギやニラ、調味料、ミンチと一緒にこねてこねて餡を作る。

皮班は小麦粉を捏ねて皮のもととなる棒状の練り物を作る。包むのは全員でやった。一部の餃子は海老と大葉入り。子供の握りこぶしぐらいある巨大餃子が大量に作られた。形状はばらばらだ。餃子を大勢で作ると楽しい。全部でいったい何個ぐらい作っただろうか?餃子の制作時間は1時間ぐらいかかったと思う。

餃子が大きいので焼くのがちょっと大変だった。まず餃子の皮のすべての面に焼き焦げをつけ、ちゃんと餡が熱せられるように、10分ぐらい蒸し焼きする。

餃子は自分で手作りするのが一番美味しいように私は思う。人気店の餃子よりも、なぜか家で手作りした自家製の餃子のほうがおいしく感じる。平原演劇祭の#餃子学会の手作り餃子も、見た目はバラバラで不格好ではあるが、味は絶品だった。ラー油と醤油、酢のタレにお好みで刻みニンニクを添え、さらにグリーンハリッサが、個人的には餃子の薬味として秀逸だった。巨大餃子なので三個食べるとお腹いっぱいになる。私は5個ぐらい食べてしまったが。他の参加者の方々も一人あたり3、4個は食べていたようだ。

意識を取り戻した高野竜が、ちょっと誇らしげに、そして照れくさそうに「これこそが平原演劇祭なんです」と3回ほど繰り返し言っていた。確かに新型コロナ以前の平原演劇祭では、食べ物がよく出ていて、その食べ物自体が「演劇」のプログラムの一つとなっていた。

餃子を一通り食べ終わった後、#餃子学会の締めくくりとして、最中さんが、きむらよしお作の絵本『

www.fukuinkan.co.jp

』(福音館書店)を、子供たちに時折話をふりながら、読んだ。

この絵本に出てくる餃子は、ついさっき、自分たちが作って、食べた手作り餃子とよく似ている。

餃子はすべて食べきることができなかったが、余った餃子はいくつかの袋に入れて、希望者が持ち帰った。私も数個持ち帰った。

後片付けが終わったのが午後4時半過ぎ。4時間超えの長時間食事イベントだった。