閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

栄光への脱出(1960)

EXODUS

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第二次世界大戦直後のイスラエル建国の物語を、ユダヤ人の立場から娯楽性豊かに描き出した叙事詩的スペクタクル。
キプロス島に留め置かれたエクソダス号のパレスティナへの出国をめぐる英国政府との駆け引き、英軍のパレスティナ撤退をめぐり対立するユダヤ人組織の抗争、英軍撤退後のユダヤ人とアラブ人の対立という三つのエピソードを、ポール・ニューマン演じるユダヤ人組織の指導者とエヴァ・マリー・セイントが演じるアメリカ人看護婦を中心に、3時間半で描き出す大作だ。アラブ側からの視点が欠けているという批判はあるようだが、5,60年代の映画の雰囲気を感じさせる重厚な大スペクタクル活劇で、長尺にもかかわらず見所がうまく配置されていて退屈しない。大画面で見たい作品である。ただしイスラエル建国へ寄せる大きな希望が表明されてはいるものの、エンディングはハッピーエンドになりえない。この映画が完成された時代はもちろん、現在に至るまでパレスチナ問題には出口が見えないままである。