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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

牡蠣工場(2015)

映画 ドキュメンタリー

 

http://www.kaki-kouba.com/

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岡山県にある漁港、牛窓の牡蠣加工場の労働風景が映し出される。猫のシロ、牛窓の海、リズミカルで機能的な作業過程、そこで働くひとたちの素朴で実直な姿。単調で散文的な労働の日々のなかに思いがけない詩情があることに気づかされる。しかし想田のカメラは甘い抒情だけに浸らせてはくれない。苛酷な労働環境とも言える牡蠣工場で働く人々と映画館でその映像を見る私たちとのあいだにある決定的な距離感も冷徹に想田のカメラは映し出す。中国人短期労働者を迎入れる様子を撮影することを拒否する工場主の言葉の強さ、背中を向けたその様子への想田の戸惑い、働き始めた中国人労働者の不安げな視線。こうした場面にも想田のカメラはしっかりと向けられていて、その戸惑いや不安を正面から受けとめている。ナレーションがないことによって、観客はその映し出される映像の人たちの心中、彼らがかかえる背景を、じっと深く想像することに導かれる。