閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

愛のひだりがわ

筒井康隆(新潮文庫、2006年)
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評価:☆☆☆☆★

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思春期直前の少女を主人公とする児童文学小説の傑作。荒廃した近未来の日本社会を舞台に、人や社会の様々な醜さと優しさを直視しながら、力強く成長していく少女の姿を描き出す。「塗り残しの余白が残された絵画」のような文体だと文庫解説の村松友視は書くが、詳細でありながら平板でのっぺりとした描写はまさにその年代の少女の目を通して観察された世界像を反映しているように思える。自分の娘が中学生ぐらいになったら推薦してみたい小説だった。