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バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版> (1987) BAGDAD CAFE
- 上映時間:108分
- 製作国:西ドイツ
- 監督:パーシー・アドロン
- 製作:パーシー・アドロン、エレオノール・アドロン
- 脚本:パーシー・アドロン、エレオノール・アドロン
- 撮影:ベルント・ハインル
- 音楽:ボブ・テルソン
- 主題歌:ジェヴェッタ・スティール『コーリング・ユー』
- 出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト、ジャック・パランス、CCH・パウンダー、クリスティーネ・カウフマン、モニカ・カルフー
- 映画館:渋谷 ユーロスペース
- 評価:☆☆☆☆
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ラスベガス郊外の砂漠の中の街道沿いにぽつんと一軒だけある荒れ果てたカフェ兼モーテルが舞台。そのカフェを実質的に取り仕切る黒人女性は、役立たずの夫と従業員、あまりできの良さそうではないこどもたち、怪しげな常連たちとの生活にうんざりしていていつも不機嫌だ。カフェは散らかり放題で投げやりなよどんだ空気で満ちている。そのカフェにある日、夫とけんかし砂漠のなかに放り出されたドイツ人中年女性がやってきて、ここに滞在しはじめる。英語も不自由なこの得体の知れない中年女性を最初、カフェの住民たち、とりわけ女主人は警戒する。なぜこのドイツ人女性が砂漠のモーテルに長期滞在するのかその理由がわからない。しかし不気味な存在だったこの女性は少しずつゆっくりカフェの住人たちとなじんでいく。彼女の手品が徐々に人気を集め、寂れたモーテルは活気付くようになる。それにつれモーテルの住人にも生気が戻る。
おとぎ話だ。一人の異人が入り込むことによってこんなに劇的に状況が好転するなんて。この手の癒し系コメディ(だと思う)には拒否感を覚えることが多いのだけれど、主演の二人の女優が魅力的で中盤から映画の世界に引き込まれてしまった。色つきのセロファン紙ごしに撮影されたかのような独特の色合いを持つ砂漠の夕暮れの風景や繰り返し使われる『コーリング・ユー』の気だるい響きも物語と絶妙の調和を作り出している。
こんな幸福な偶然が継続するわけがない、最後はきっと悲劇的なものに違いない、とハラハラしながら見ていたら、予想に反してハッピーエンドだったのでほっとした。