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シャネル&ストラヴィンスキー(2009) COCO CHANEL & IGOR STRAVINSKY
- 上映時間:119分
- 製作国:フランス
- 初公開年月:2010/01/16
- 監督:ヤン・クーネン
- 原作:クリス・グリーンハルジュ 『シャネル&ストラヴィンスキー』(竹書房刊)
- 脚本:クリス・グリーンハルジュ、ヤン・クーネン
- 撮影:ダヴィド・アンガロ
- 美術:マリー=エレーヌ・スルモニ
- 衣装:シャトゥーヌ、ファブ
- 音楽:ガブリエル・ヤレド
- 出演:アナ・ムグラリス、マッツ・ミケルセン、アナトール・トーブマン、エレーナ・モロゾーワ、ナターシャ・リンディンガー、グリゴリ・モヌコフ
- 映画館:新宿武蔵野館
- 評価:☆☆☆☆
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ファッショナブルではあるが、予想していたよりはるかに地味で渋い作品だった。いかにもフランス映画っぽいフランス映画だった。
冒頭、「春の祭典」初演の様子の再現場面が鳥肌ものの素晴らしさだった。観客の拒絶反応を信じられないニジンスキーの唖然とした様子がとてもいい。
冒頭で緊張感を最高レベルまでもってきて、その後はだらだらとシャネルとストラヴィンスキーが恋愛の泥沼にはまり込んでいく様子を執拗に描く。ファム・ファタルでもあると同時にミューズでもあるシャネルのかっこよさがきっちり描き出されている。細身の美しい身体と冷たい表情が印象的なアナ・ムグナリス演じるシャネルは、獲物を罠にかけてじわじわと捕らえるかのようにストラヴィンスキーのなかに入り込んでいく。それは彼への愛情というよりは、自分の空虚を埋めるための退屈しのぎであるような雰囲気もある。ストラヴィンスキーは、彼女の数多くの恋愛遍歴の一ページを埋めるための存在に過ぎないことが映画の最後で暗示される。この映画でのシャネルは「ドン・ジュアン」の女版のようにも思える。様々な男を取り込んでそれを自らの糧として輝きを手に入れる。しかしこうしたすべて彼女は無邪気にやったのかもしれない。
ストらヴィン好きシャネルの手管と魅力にふぬけのようになっていく。しかしストラヴィンスキーは一方的に奪われたわけではない。ロシアの田舎作曲家はシャネルを通して都会の洗練と退廃の甘美を味わったのだから、ギブアンドテイクは成立しているのだ。
いかにもフランス映画らしい雰囲気を持ったフランス映画だった。