Men at Lunch
監督:ショーン・オ・クーローン
音楽:マイケル・マクゴールドリック
映画館:UPLINK ファクトリー
評価:☆☆☆★
1932年にニューヨークのロックフェラー・ビルの建設現場で撮影されたというこの写真のインパクトは強烈だ。69階、地上250メートルの高さ、工事用の鉄骨の梁の上で11人の労働者たちが命綱もつけずに食事をしている。
見る者の想像力を刺激してやまないこの写真に写っている人物についてはよくわかっていないそうだ。このドキュメンタリーは11人の消息を追っている。アイルランド系の移民であることはわかった。19世紀半ばのじゃがいも飢饉以降、大量のアイルランド人が新大陸へとやってきた。アメリカへの移民のなかでも最下層の存在であったアイルランド系住民は新大陸でも差別され、苦難の道を歩むことになった。1929年の大恐慌直後、アイルランド系移民が職を得ることのできる場所は限られていた。当時、建設ラッシュだったニューヨークの高層ビル建築現場は、その危険性ゆえにアイルランド系労働者に残された働き場所となった。
実に面白そうなテーマのドキュメンタリーなのだが、その語り口は単調で地味で散文的で、退屈を感じた。写真の人物や撮影状況についての情報の乏しさのため、物語を広げるための切り口が見つからなかったような印象。同じような話が何回も繰り返され、堂々巡りの感じがあった。