閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

グリム童話〜少女と悪魔と風車小屋〜

SPAC
? グリム童話〜少女と悪魔と風車小屋〜:SPAC スプリング・シーズン2011

  • 演出:宮城聰
  • 作:オリヴィエ・ピィ
  • 訳:西尾祥子、横山義志
  • 音楽:棚川寛子
  • 美術:深沢襟
  • 照明:神谷怜奈
  • 衣裳:竹田徹
  • 出演:美加理、大内米治、塩谷典義、大道無門優也、武石守正、仲谷智邦、永井健二、池田真紀子
  • 劇場:東静岡 静岡芸術劇場
  • 評価:☆☆☆☆
                            • -

グリム童話〜少女と悪魔と風車小屋〜』はパリのオデオン座の芸術監督であるオリビエ・ピの作品。ピの演出で2009年に静岡で上演されて好評を博したそうだが私は見ていない。2008年にやはり静岡で見たピの二作品が私は好きでなかったので翌年に上演された『グリム童話三部作』も観に行かなかったのだ。
今回は宮城聰演出、しかもク・ナウカの看板女優である美加理が出演するということでチケットを予約した。詩情豊かな非常に美しい作品だった。生演奏の音楽もとてもかっこいい。父が悪魔と契約を結んでしまったために、腕を切り落とされてしまった娘が放浪し、そこで王子に出会って…という話。話の内容や演出の雰囲気は昨年、座・高円寺で見た「旅とあいつとおひめさま」をちょっと連想させるところもあった。折り紙細工のような舞台美術と衣裳、そこに当たる照明の美しさというビジュアル面の美しさだけでなく、音楽も素晴らしかった。台詞や人物の動きはたどたどしくぎごちない。運命の不条理にとまどい、自由に動くことができない人形のようであった。グリム童話の持つおどろおどろしさが詩的で繊細な演劇表現によって再現された秀作だと思う。金髪の美加理さんがまた可憐で美しかった。声もとても可愛らしい。