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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

地下水道(1956)

映画
  • 地下水道(1956)KANAL、ILS AIMAIENT LA VIE [仏]
  • 上映時間:96分
  • 製作国:ポーランド
  • 初公開年月:1958/01/10
  • 監督:アンジェイ・ワイダ 
  • 脚本:イエジー・ステファン・スタヴィンスキ 
  • 撮影:イエジー・リップマン 
  • 音楽:ヤン・クレンツ 
  • 出演:タデウシュ・ヤンツァー 、テレサ・イジェフスカ 、エミール・カレヴィッチ 、ヴラデク・シェイバル、ヤン・エングレルト
  • 映画館:シネマート新宿
  • 評価:☆☆☆☆★

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ナチス・ドイツに対抗したワルシャワ蜂起の末期のできごと。ナチス・ドイツの圧倒的な戦力に退路を塞がれ、窮地に陥ったレジスタンス中隊は、地下水道を通って陣営まで退却することになる。この命令が下ったとき、中隊隊員に大きな動揺が起こる。その動揺のわけはその後に延々と続く地下水道の場面を見るとわかる。

汚水が流れる暗闇のトンネルを、ときには腰まで水に浸かりながら延々と進んで行かなければならないのだ。地下水道のルートは枝分かれの迷路のような状態である。

ほとんどが暗くて狭い地下水道の場面で、観客もカメラの映し出す映像とともに、中隊の人間たちが味わった閉塞感、不安感、恐怖を共有する。水に浸かったまま、暗くて狭い空間のなかでの彷徨に精神異常を来す者もいた。

出口の光が見えたとしても、その光がもたらした希望はすぐにさらに深い絶望へと変わっていく。ワイダは悲惨な彷徨の苦しみと絶望を容赦なく描き出す。救いのない重苦しい悲劇的状況をまっすぐと見つめるワイダの映像の強靱さに圧倒される。

ヤン・クレンツの音楽もいい。いわゆる現代音楽。その無調の響きが映像にさらに深みをもたらしている。