花村萬月(徳間文庫,1996年)
評価:☆☆
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眠り猫の息子が主人公.前作のようなミステリ仕立てではない.17歳の少年が裏世界をめぐりめぐって成長する物語.裏世界を構成する記号がすでに嘘っぽく感じられしらけてしまう.眠り猫の愛人で前作にも登場した美貌の元女優と眠り猫,その息子の疑似家族関係を中心にいくつかの疑似家族のあり方が描かれる.『笑う山崎』ではそんなに気にならなかった「疑似家族」のありようが,この小説では鼻につく.この点において花村萬月は実に通俗的なロマンチストになってしまう.