ポツドール映像作品
http://www.potudo-ru.com/history/hatukoi/index2.html
劇団ポツドールの三浦大輔,溝口真希子による映画.雑なアフレコ,ビデオ上映の粗い画面,乱暴で唐突なシークエンスなどいかにもチープな自主映画ではあるが,脚本にある弱者にむち打つような容赦ない毒のある笑いには,劇場で見た『愛の渦』『夢の城』にも感じた,悪魔的な冴えがある.洗練されていない和製トッド・ソロンズといった感じ.
ひたすら自分を殺してひっそりと生きようとするもののその並はずれた不器用さと器量の悪さゆえに,他者の攻撃本能を誘発せずにいられない不幸な女と,意味不明瞭な言動をぼそぼそと白痴的に発しつつも,その生々しい性欲は隠そうともしない,自意識の欠如した気味の悪い男性との無惨醜悪な恋愛譚.流れに乗ってアンチロマチックな雰囲気の中,ずるずるとだらしない性関係に簡単に移行してしまいそうなのだが,この二人の恋愛関係は意外にもプラトニックなままだ.女が性関係を拒否する理由は最後のほうで明らかになるのだけれども,この理由付けはあまりにも説明不足だっため興をそがれてしまう.
しかし不気味に肥大していく男の性欲の醜悪さと男に徐々に幻滅しつつ,それでも男にすがっていかざるおえない女の痛々しさの描写は悪魔的にすばらしく,しばしば思わず爆笑してしまう.