HDSR
- 製作年:1982年(1984年公開)/日本ATG
- 上映時間:127分
- 脚本:寺山修司、岸田理生
- 監督:寺山修司
- 撮影:鈴木達夫
- 音楽:J・A・シーザー
- 録音:木村勝英
- 照明: 海野義雄
- 美術:池谷仙克
- 装画:合田佐和子
- 衣裳:山田勇男
- 美粧:川辺サチコ
- 編集:山地早智子
- 製作:砂丘不二夫、九條今日子、佐々木史朗
- 出演:小川真由美、原田芳雄、新高けい子、高橋洋子、高橋ひとみ、石橋蓮司、若松武、天本英世、蘭妖子、サルバドール・タリ、根本豊、福士恵二、牧野公昭、三上博史、大林真由美、日野利彦、江幡高志、小松方正、宮口精二、斎藤正治、松田政男、山崎努
- 場所:早稲田 大隈小講堂
- 評価:☆☆☆★
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
早稲田大学での企画。映画の上映と寺山についてのシンポジウムがあった。
寺山の遺作、『さらば箱船』は大学生ぐらいのころ、ビデオで借りて見た記憶がある。マルケスの『百年の孤独』を原案とする作品だということに興味をひかれて借りたのだ。しかし見ている途中で意識を失ってしまい、最初の部分と最後の部分がおぼろげに頭に残っているだけ。
今日も意識を失いそうになる瞬間が何回かあったけれど、無事最後まで到達する。難解というわけではないが、とらえどころがなく、展開の飛躍がところどころにある。寺山が定型を創造したといってもいい叙情的かつ土俗的な不気味な追憶のイメージの断片には惹きつけられるけれど、空白の多い各場面は、体調がよくないと、飛躍を連鎖させていくのが面倒になってくる。池や川を飛び石づたいに進み、各自が自由に想像力を働かせてその間隙を埋めて行かなくてはならない。『さらば箱船』はその隙間が広いほうだと思う。
今日の僕はちょっとしんどかった。最後のほうで100年間の時間の跳躍を経て、因習にまみれた陰惨な過去の寒村と現代が一気に重なり合うシーンは感動的であった。
上映終了後、寺山に関するシンポジウムがあった。出席者は映画監督の篠田正浩、寺山の生涯を通じてのパートナーだった九條今日子、そして天井桟敷のメンバーだった萩原朔美と榎本了壱。司会進行は安藤紘平。1960年代初頭に松竹で寺山修司脚本の作品を何本か残した篠田正浩を中心とする寺山を偲ぶ会のような雰囲気のシンポジウムだった。篠田は巧みな話術で、寺山との交流、当時の松竹の雰囲気を柔らかなユーモアでもって語る。寺山のパートナーであった九条今日子も70を超えているのだが、その口調や雰囲気はとても若々しい。