閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

花の生涯─梅蘭芳

http://meilanfang.kadokawa-ent.jp/
花の生涯梅蘭芳(メイ ラン ファン)〜(2008) MEI LANFANG

  • 上映時間:147分
  • 製作国:中国
  • 初公開年月:2009/03/07
  • 監督:チェン・カイコー
  • 製作:ハン・サンピン
  • 脚本:ゲリン・ヤン
  • 撮影:チャオ・シャオシ
  • 音楽:チャオ・チーピン
  • 出演: レオン・ライ(メイ・ランファン(梅蘭芳))、チャン・ツィイー(モン・ツァオトン(孟小冬))、スン・ホンレイ(チウ・ルーパイ(邱如白))、チェン・ホン(フー・チーファン(福芝芳))、ワン・シュエチー(シーサン・イェン(十三燕))、イン・ター(フォン・ツーコアン(馮子光))、ユィ・シャオチュン(メイ・ランファン(青年時代))、安藤政信(田中隆一)、六平直政(吉野中将)
  • 映画館:新宿ピカデリー
  • 評価:☆☆☆★
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京劇の役者の壮絶な芸の世界、役者間の同性愛的な愛憎を、激動の時代背景に重ねて描いた大傑作『さらば、わが愛/覇王別姫』の監督のチェン・カイコーによる同じ主題の作品となれば期待しないわけにはいかない。だが『霸王別姫』はやはり別格だった。

絢爛な京劇の芸の世界を楽しむことはできたし、美しい印象的な場面はいくつもあったけれど、ドラマとしては残念ながら『さらば、わが愛/覇王別姫』の重厚なダイナミズムには遠く及ばない。
梅蘭芳と二人三脚で芸道を歩む義兄役の人物造形に説得力を感じない。一心同体といってもいいほど強い絆を持っているはずなのだけれど、なぜ梅蘭芳がこの「義兄」に強く惹かれたのかがよくわからないのだ。梅蘭芳の芸に心酔する日本人将校の心情の激しさも説明が乏しいように思った。芸道の異様さの描写についても、時代の不条理に個人がいやおうなしに巻込まれてしまうというドラマの強さの点でも、『さらば、わが愛/覇王別姫』を思うと物足りない。