閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

イノセント・ガーデン

イノセント・ガーデン(2013) STOKER

 三人の役者の硬質で無機的な雰囲気がとてもいい。物語の作りも精緻な工芸品といった趣のサイコ・サスペンスだった。この種の映画には食指が動かないのだけれど、退屈することなく楽しんで見ることができた。

音楽の趣味もとてもいい。映画の中で登場人物が連弾で弾く曲はフィリップ・グラス作曲の作品だった。母娘役のミステリアスな美貌は、彼女たちの精神の歪みもしっかりと伝えている。作品に漂う乾いた冷気が緊張感のある美しさを作り出していた。ただあまりに人工的で冷淡。個人的にはパク・チャヌクのぬめっとした熱さが画面から感じられないのが物足りない。パク・チャヌクの作品では、『オールドボーイ』が衝撃的であり、私が韓国映画に興味を持つきっかけとなったのだが、個人的には『サイボーグでも大丈夫』という狂気の少女の激しい愛を描いた快作が一番心に残っている。『サイボーグ』また見てみたくなった。