閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

三茶de大道芸2013

http://setag464.rsjp.net/arttown/

小2の息子と息子の友達を連れて、三茶de大道芸に行った。 

あいにくの大雨。雨天決行なのだけれど、大道芸と大雨は相性が悪すぎる。普通だったら行くのをやめて別の選択肢を考えるのだけれど、今日は事前に息子の友達を誘っていたので、予定を変更しなかった。 でもやはりこんな本格的な雨の日の大道芸はさえない。会場のほとんどが野外で屋根がない場所なのだ。予定されていたプログラムは大幅に変更され、縮小された。 

 

 今日は結局4演目見た。最初はリズムボックスの音楽にのって、踊りながら絵を描くユキンコアキラ。3年前に高円寺びっくり大道芸で見て以来、私はこの芸人のファンなのだ。この二年ぐらいに急速に売れっ子になって、国内外の大きな大道芸フェスティバルの常連になっている。寄席の紙切り芸の大道芸版なのだけれど、話芸ではなく、痩せた身体を激しく運動させる情熱的な描画のスタイルで見せる。この種の芸を大道芸でやっているのはユキンコアキラだけしか私は知らない。いかにも必死にへろへろになる状態になるまで描いている、という演出がどんどんうまくなっている。音楽との相乗効果で、彼のパフォーマンスは感動的なのだ。10分ほどで一枚の絵を完成せる。絵のパターンはそれほど多くないけれど、ちょっと表現主義風でファンタジックな具象画で、いいところを狙っている。 今日はビルの一階の軒下のようなところでやった。狭い場所だったし、雨も強かったので観客は三十名ほど。一番前で見ていた私と私の息子は、一枚目の絵を貰うことができた。2枚目はカッターを使った切り絵である。切り絵を作ったあと、そこにスプレーを吹きかけてステンシル技法による絵画を提示する。一本道の向こうに風景が見える絵だが、型紙となった切り絵の部分を剥がして、カラフルな絵が現れるときの驚きがいい。 

 

 続いて同じ場所でチクリーノのマジックを取り入れたコント。私は初めて見る芸人だった。町中にレストランがオープン。そこで鳩を使った料理を出すのだけれど、その鳩の仕掛けを中心に15分ほどのコントを演じる。マジックは高度なものではない。観客参加を取り入れた構成で、ほぼ無言でレストランを舞台にしたナンセンスな喜劇を演じる。 

 この後、場所を移動。雨は相変わらず強い。ずっと立ち放しで傘を持ちながら見ていたので疲れてしまった。気温も低かった。おまけに会場で行われていた商店会のくじ引きで、息子がえらくかさばるおもちゃを引き当ててしまい、それを抱えながら傘もさすというのがだんだんきつくなってきた。 

 息子が世田谷線に乗ってみたいというので、これに乗って往復する間、電車のイスに座って休んだ。世田谷線往復で、三茶に戻ってきたところで、世田谷線改札の前にある広場で、大道芸フェスの女王的存在である加納真実のパントマイムを見る。独身女のねじまがった情念を歌謡曲の歌詞に合わせて表現する彼女のシュールなパフォーマンス、やはり素晴らしい。私がこれまで見たことのないネタも含まれていた。ただ子供たちにはあまり面白くなかったようだ。 そのまま同じ場所で、引き続き、Gちょこマーブルを見る。男女二人によるアクロバット。このユニットも大道芸フェスの常連だ。櫓を組んでエアリアルと呼ばれる空中芸がメインなのだけれど、今回は大きな風船を使った芸とイスを組み上げた上で行うアクロバットの組合せ。男女ペアで観客の美女が気になって仕方ない浮気男とそれに焼き餅を焼くコケットな女という設定のなかで、芸を構成していくのだけれれど、この台本はイマイチ説得力乏しい。類型的なのはかまわないのだけれど、あまり二人の雰囲気、個性とはマッチしていないように思う。でも今日はなぜかいい感じで見ることができた。客いじりのときの3歳ぐらいの男の子の反応がとてもよかったからかもしれない。この子の笑い声がショーを盛り上げていた。観客参加が重要な要素である大道芸ではとりわけ、観客の反応一つで、芸の印象は大きく変わる。 

 雨はこの時点ではかなり勢いは弱まっていた。でも疲れてきたし、子供たちの集中力もあやしくなってきたので、今回はこの4演目だけで帰ることにした。不完全燃焼の感じだったが仕方ない。再来週の静岡の大道芸ワールドカップで存分に楽しむことにしよう