スタフ王の野蛮な狩り(1979)
- 上映時間:109分
- 製作国:ソ連
- 初公開年月:1983/05/
- 監督: ワレーリー・ルビンチク
- 原作: ウラジミール・コロトケヴィチ
- 脚本: ウラジミール・コロトケヴィチ
- ワレーリー・ルビンチク
- 撮影: タチアーナ・ロギーノワ
- 美術: アレクサンドル・チェルトヴィッチ
- 音楽: エブゲニー・グレボフ
- 出演: ボリス・プロートニコフ、エレン・ディミートロワ、ヴァレンチナ・シェンドリコワ、アリベルト・フィローゾフ
- 映画館:オーディトリウム渋谷
- 評価:☆☆☆☆
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ソヴィエト映画ファンのあいだでは有名なゴシックホラー映画の傑作のようだ。知り合いのロシア文学研究者に今回のソヴィエト・フィルム・クラシックスでまず見に行くべき作品といえばどれだと聞いたところ、この映画を挙げた。この企画上映は先週の土曜日からやっていた。土曜日と月曜には、1990年頃、パリで『無気力症候群』という作品を見て衝撃を受けたキラ・ムラートワの作品を2本上映していたのに見損ねてしまったのが悔やまれる。
ゴシック・ホラーに限らず、ホラー映画を私はふだんあまり見ないのだが、『スタフ王の野蛮な狩り』には引き込まれた。今日は寝不足気味のうえ、テンポの緩やかさに眠りに落ちそうになったことが度々あったのだけれど。どっしりとした重みのある映画だった。かつて裏切りによって惨殺され、亡霊となったスタフ王とその臣下たちが騎馬隊を組んで、自分たちを裏切った一族の子孫を呪い殺しにやってくるという話。亡者たちの騎馬隊というと、中世フランスのエルカンの軍団を私は連想したが、この種のフォークロアはヨーロッパ中にいろいろなかたちであるのだろう。
どっしりとした重みを感じる展開はしばしば単調で圧迫感がある。物語のなかではいつくもの優れたグロテスク・ファンタジーが提示される。音楽がいいし、どんよりとした灰白色を基調とする映像が素晴らしい。民話採集にやってきた若い民俗学者が主要な登場人物なのだが、映画で強調されるテーマも土俗的・神話的でおどろおどろしい。体調のいいときにもう一度見てみたい。