- 作:ヘンリック・イプセン
- 上演台本:笹部博司
- 演出:古川貴義
- 美術:伊藤雅子
- 照明:工藤雅弘
- 音響:岡田悠
- 衣装:友好まり子
- 主催・企画:メジャーリーグ
- 出演:小沢真珠、伊達暁、町田マリー、小野哲史、山本亨
- 上演時間:2時間
- 劇場:赤坂RED/THEATER
- 評価:☆☆☆☆
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町田マリーが出演するイプセンの劇という興味深い組み合わせだったのでチケットを購入した。
ただしタイトルロールは町田マリーではなく小沢真珠。この女優について僕はまったく知らなかったのだけれど、驕慢で無慈悲なヘッダの人物像を見事に具現しているように思った。大きな眼と尖った鼻が印象的な顔つきもいかにも役柄に合っている感じがした。
上演台本では原作より登場人物を減らし、それによって矛盾が出ないようテキストも刈り込んだようだが、それが功を奏していたように思う。リズムのよい台詞のやりとりによって芝居がぎゅっと凝縮されたような感じ。
日常の退屈を死ぬほど嫌うヘッダは小さな世界に君臨する暴君であり、「運命の女神」さながらのその無慈悲な振る舞いの向こう側には絶望的な空虚感が感じられる。何年か前に見たカミュの『カリギュラ』を連想した。
町田マリーを僕が見るのは久々だったのだけれど、その姿形が僕の頭に残っているものとかなり違っていたので、とまどってしまった。この芝居で彼女が演じるのはジャガイモのようにごつごつとして鈍く凡庸な女の役である。鋭く刺々しいヘッダとは対照的な人物。役柄をしっかりと消化して演じていたように思う。
演出は箱庭円舞曲主宰の吉川貴義だが、この演出家の作品を見るのは僕は今回が初めてだった。会話の間のタイミングのとりかたがとても巧みで、対話に存在するずれをしっかりと把握し、喜劇的なアイロニーを上手に浮かび上がらせていた。箱庭円舞曲の本公演も一度見てみたい。