閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

演劇1 演劇2

想田和弘監督 映画『演劇1 演劇2』公式サイト

今年、映画館で見た映画の中では文句なしのナンバー1。平田オリザに何か反発を感じている人たちも、見て損はない。『演劇』。一つの、不定冠詞付き「演劇」のあり方が示されているが、そこには演劇という活動の本質が凝縮されている。
平田のプロパガンダ映画だったらその点を徹底的に批判するつもりで見に行ったのだけど、『演劇1』の印象は、平田オリザ/青年団という特異な演劇集団の現場の映像を通して、演劇の普遍的な姿を浮彫にしようとしているように感じた平田オリザへの共感を露骨に誘導するような雰囲気を感じたら途端に白けてしまうだろう、と思って見ていたのだけど、想田のカメラは透明人間のように見事にその気配を消している。まさに青年団の芝居の如く、映像を通して演劇生成の現場を覗き見する気分を味わうことができた。
私のような小劇場ファンがこの映画を見て面白くないと思うなどまずあり得ない。映画の中で出てくる芝居はすべて見ているし、その創作過程を微細に明らかにしたこのドキュメンタリーは、青年団演劇の一観客にとっては興味深いことこの上ない。
『演劇2』では、平田オリザ/青年団という一演劇集団を『演劇1』とは異なる視点から観察することで、現代日本における演劇という営みの特質を浮彫りにする。「演劇って何?」という素朴な問いかけに対する一つの、説得力を持つ回答になっている。演劇で食べていくために平田オリザが行っている多様な非芸術的な活動を追う。ワークショップなどのアウトリーチ、政治家へのロビー活動、ロボット演劇、フランス公演といった戦略的公演など。公演の傍ら、実務的で地道で膨大なこれらの作業をこなす平田のタフさに驚嘆する。