- 原作:ベルトルト・ブレヒト
- 翻訳:松岡和子
- 演出・美術:串田和美
- 衣裳:ワダエミ
- 音楽:朝日奈尚行
- 照明:斎藤茂男
- 企画・制作:まつもと市民芸術館
- 出演:松たか子,谷原章介,鞠谷友子,串田和美
- 劇場:世田谷パブリックシアター
- 評価:☆☆★
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
休憩15分をはさみ3時間20分の舞台.「音楽劇』で生演奏.歌に関しては鞠谷はもちろん上手だし,松も悪くない.音楽はこの公演オリジナルのもののようだ.ホーミーを使ったりして民族音楽的な響き.ただ音のイメージがあまりにもありきたりな感じがする.凡庸.
お話の筋は他愛ないほど単純.ひねりのなさに拍子抜け.
舞台はパブリックの中央に円形状に設置され,観客がそれを取り囲む.両側に器楽奏者の演奏場所となる高台が設置されているのみ.視覚的な変化に乏しい.舞台空間が狭く,しかもかなり多くの役者がその中で動くことが多いので,動きも単調になりがち.風邪でもひいているのか串田和美もいまひとつ元気がないような感じ.串田の台詞もききとりにくかったが,端役でかなり台詞のある外人の役者が幾人かいて,その訛りのある台詞が異様に聞き取りにくいし,耳障りだった.
上演前の雑然とした雰囲気から徐々に役者が集まってきて,即興的なやりとりの後,芝居が始まっていくという導入や休憩から後半部がはじまるときのやりかた,ラストのダンスシーンにおける観客のとりこみ方などは上手.どうせなら太陽劇団なみに徹底してやって欲しかった気もするが,日本の内気な観客相手だからあれくらいできれば上出来だろう.ただ一見役者の自主性を重視した自由度の高い演出は,単に粗雑なだけのようにも見える.演出家の串田の演技が四人の主役級の中では一番ひどかった.鞠谷友子の多芸多才ぶりが際立っていたが,突出してただけに,浮いていた感じもあった.トータルでの演出美学に乏しい感じがした.
ワダエミの衣裳は非常に美しく洗練されたもの.流石.
とにかく眠気を誘う舞台だった.ひねりのない脚本に,ばらばらな感じの演出と単調な視覚.つまらない音楽が追い討ちをかける.前半は1/3ぐらい眠っていたような.ここまで睡魔をもたらす舞台も久しぶり.チケットが8800円もしたことを考えると,この舞台は「失敗」であるように僕には思えた.