小松左京(角川文庫、1971年)
ISBN:4041308011
評価:☆☆☆
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かつて朝鮮人のくず鉄泥棒が跋扈していた大阪城裏の陸軍砲兵工廠跡に着想を得たSF。工廠の鉄くずを食らって生きるアパッチ族による日本政府の崩壊という奇想天外な設定のつじつまを合わせるためのディテールの描写が丁寧。単なる絵空事ではない整合性のある空想世界の創造に成功している。文のリズムもよく、ユーモアも社会風刺もナンセンス、どたばたもある。そのSF娯楽小説しての完成度の高さにもかかわらずあまり楽しめず読了に思いのほか時間がかかる。