花村萬月(講談社文庫,2000年)
評価:☆☆☆★
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佳編.『笑う山崎』の原型を思わせるチンピラとそのチンピラに慕われる妻に逃げられた中年男,その中年男の恋人の元ソープ嬢という三人を登場人物とする,ロードムービーの味わいを持つ長編.
散々傷つき,世間からずれてしまった三人の交流の様子は時に激しく荒々しいが,素朴で微笑ましい.小説の物語としては不幸な結末を予測しつつ,ハッピーエンドを祈るような気持ちで読み進めていくと,結末は意外なほど素直なハッピーエンドでほっとする.さえない寝取られ中年が誇りを回復していく過程に自然と感情移入してしまった.