- 劇団:黒テント
- 演出・美術:佐藤信
- 作:ベルナール=マリ・コルテス
- 翻訳著作:石井惠
- 翻訳:佐伯隆幸
- 上演台本:石井惠,佐伯隆幸,佐藤信
- 照明:斎藤茂男
- 音響:島猛
- 映像:吉本直聞
- 出演:足立昌弥,谷川里美,本木幸世
- 劇場:神楽坂 theatre iwato
- 評価:☆★
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ベルナール=マリ・コルテスの名前はフランス演劇関係者の間ではよく出てくるのだけれど,これまで戯曲も未読,舞台も未見のままだった.パトリス・シェローが,つい最近エイズで若くして死んだこの作家の作品をよくとりあげていた.
黒テントの舞台は佐藤信演出の『ヴォイツェック』を数年前に見たことがあり,視覚的な美しさと音楽の使い方のセンスのよさが印象的だった.この佐藤信演出で黒テントがコルテス作品を上演するということで期待は非常に大きかったのである.
劇場はオープンしたばかりの黒テントの専属劇場.120席の規模.今日の舞台では横に細長い舞台だった.奥行きは3メートルほど.中世劇の並列舞台装置を使えそうなつくり.
客は八分のほどの入り.
両親や追ってくる警官だけでなくゆきずりの少年まで殺害してしまう,動機不明の殺人脱獄囚ロベルト・ズッコの放浪生活とズッコに強姦された少女の転落を描く.1時間40分.
ひどい舞台だった.まず翻訳が舞台上演にはまだしんどいレベル.端正な訳文ではあったが,舞台上では上滑りして頭に残らない.役者の大根ぶりもひどい.学生演劇レベル.あの棒読みせりふと見ていたこちらが赤面するようなぎごちない演技の数々は演出の指示だったのだろうか?!!(そうだとしても理解に苦しむ).とにかくあの空虚にだらだらと流れる台詞の表現にはいらいらした.
伝えたいメッセージが何なのかも明確でない.演出家もしくは役者の消化不良の様子がよくわかる粗雑な舞台だった.あの『ヴォイツェック』は幻だったのか,こちらの錯覚だったのか.
唯一評価できるのは,壁面に投影され背景の役割を果たしていた「映像」.登場人物の心象風景を半抽象絵画のようなイメージでうまく表現していた.
観客を驚愕させる突然の大音響(三回あった)はじつに不愉快.心臓に悪いだけ.劇的効果はゼロ.びっくりホラー映画じゃあるまいし.