- 原作:ベルトルト・ブレヒト(千田是也訳『肝っ玉おっ母とその子供たち』より
- 構成・演出:ルティ・カネル
- 美術:ロニ・トレン
- 音楽:ロネン・シャピラ
- ドラマトゥルク:山本健翔
- 衣装:加納豊美
- 照明:清水義幸
- 演奏:ロネン・シャピラ(アコーディオン),波田生(バイオリン),三田原賢一(チューバ)
- 出演:吉田日出子,石田智生,三谷昇
- 場所:両国 シアターχ
- 評価:☆☆★
http://www.theaterx.jp/05/050401.html
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
休憩10分を含めて二時間半の公演.200人ほどの劇場だが桟敷席も出る超満員.舞台はかなり広くとっていた.縦横10メートルほどの広さの板張りの低い壇.両側に鉄パイプで工事現場にあるような櫓が組まれている.舞台右手奥には切り抜かれた背景の後ろ側に演奏者三名の姿が見える.
大がかりな舞台装置はなく,数十の古ぼけた長方形のトランクでもって行商の荷車からビールジョッキまで様々なものを表現する.行商荷車を表象するトランク数個は天井からつるされた太い縄に結びつけられていて,その縄は滑車を通じて左側の櫓にのびている.この数個のトランクは役者の動きに応じて,縄のコントロールで自在に舞台上を移動する.
生演奏の音楽がいい.演劇的表現と音楽のコンビネーションがうまく連動し,ライブ独特ののりが生きている.吉田日出子の情緒豊かで力強い歌声も聞かせる.
舞台美術のセンスも悪くないがどうもメリハリに欠ける舞台で,ひっかかるところのないままするすると進んでしまうような印象を持つ.各シーンの緩急に乏しく,おなじテンポとリズムで最初から最後まで進行してまうような感じ.上演中眠りはしなかったけれども,前半は特に単調に感じられ,悪くはないんだけどなぜか退屈を感じた.
主演の吉田日出子が圧倒的な存在感を示す.愛嬌が濃縮されているような表情,しぐさ,発声.本当に愛くるしい.吉田日出子を見に行くためだけの舞台だった.もっとも彼女一人がいくら魅力をふりまいたところで,全般の退屈な芝居という印象はどうしようもないのだけど.演出家はイスラエル人だが,演出家と日本のスタッフのコミュニケーションがうまくいっていなかったのではないだろうか?吉田日出子以外の役者の演技はいくらなんでもあまりにも平板で印象が薄いし,吉田日出子の面白さも演出家の介入によるものではなく,彼女が本来持っていた才能と経験による個人的創意に基づくものであるように思えた.
期待はずれ.残念.