- 場所:高田馬場 早稲田松竹
- 評価:☆☆☆
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午後6時からの回を観るために上演20分前に映画館に着くと,発券機の前に行列ができていてロビーには人がいっぱい.7/1の映画の日であることを思い出す.二番館の早稲田松竹では入場料が800円になる.
『スーパーサイズ・ミー』は今年初めに封切り上映されていて,一ヶ月間マクドナルドのメニューのみを食べ続けるという発想が興味深かったのだが,観のがしていた作品.
期待していたほど面白くなかったのは,「ハンバーガーなどのファースト・フードの食べ過ぎは健康に悪い」という極めて常識的で予定調和的結論への誘導があからさまだったため.企画の目の付け所は面白いけれど,展開に意外性がなく,食に関する「教育的」映画みたいになってしまった.確かにファスト・フードは体には悪いのかもしれない.そんなことはうすうす承知の上で,それでも人は消費し続けるのである.たばこや麻薬もしかりかもしれないが,人は体に悪いとはしりつつもやめられないことはいくらでもある.なんでも「やりすぎ」はよくないけれども,「そこそこ」やっている範囲においては,いくら体に悪いとは言われていても,人間というのはなかなか急には死んだりしないものであることを,経験的に我々は知っている.確かにこの映画の監督はマクドナルドを一月食べ続けることで,身体的に急性的な変調を被った.しかしそれは「映画にしなくてはならない」という心理的プレッシャーが,過激な身体反応を誘発した可能性も高い.
はじめに結論ありきで発見に乏しいドキュメンタリーだった.実はかつての『電波少年』的な面白さを期待していたことに見終わったあとで気づく.あるいは昔『黄金伝説』でココリコの遠藤が挑戦して伝説を達成した「一週間ガリだけで生きる男」のくだらなさ,おもしろさの記憶も,今日見た『スーパーサイズ・ミー』を観に行かせた主要動機だったかもしれない.しかし全く倫理的視点を欠いていて,その徹底した無意味性と目的の純粋さゆえに腹を抱えて笑った「一週間ガリだけで生きる男」のほうが,作品の完成度と面白さという点では『スーパーサイズ・ミー』をはるかに凌駕しているように思える.
『スーパーサイズ・ミー』は強烈に逆説的な映画でもあり,この映画を観た後は,映画のメッセージにもかかわらず,マクドナルドでハンバーガーを食べたいという欲求が高まってしまうのだ.実は内容と裏腹にマックの売り上げに貢献していたりして.