岡本綺堂によるこの作品を一番楽しみにしていたのだが、上演時間のほとんどを熟睡していしまう。三階席の狭い座席でよくぞあれほど熟睡できたものだ。前の席に座っているじいさんが前に乗り出して観る人で舞台が見えにくく、いらいらとしているうちに眠りに落ちる。照明が落ちて暗くなっていたのもよくなかった。白石加代子のナレーションも導眠剤の役割を果たしたようだ。意識をとりもどしてみるとすでに芝居は終盤。芝翫演じる玉虫の面前で男女二人が倒れている。玉虫は蟹に導かれ廻り舞台をたどって海岸に。平家蟹に引き入れられるように海に入って溺れ死ぬ。