閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

復讐者に憐れみを

  • 製作年度:2002年
  • 製作国:韓国
  • 上映時間:117分
  • 監督:パク・チャヌク
  • 脚本:イ・ジョンヨン 、パク・リダメ 、イ・ムヨン
  • 出演:ソン・ガンホ 、シン・ハギュン 、ペ・ドゥナ 、イム・ジウン 、イ・デヨン
  • 評価:☆☆☆☆
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パク・チャヌクの「復讐三部作」の第一作目。二作目の『オールド・ボーイ』のようなダイナミックなドラマはないが、復讐のリアリティと陰惨さの表現は『復讐者』が勝る。宿命に導かれるように不毛な復讐に突き動かされる人間の姿を淡々と描く。
作家の視線は、復讐者に対して徹底的に無慈悲で、観客のカタルシスを許さない。それぞれ同情に値するごく善良な人物が、救いのない破滅的な復讐劇に導かれていく様子がクールに表現されている。非常に優れた脚本で、ソン・ガンホ、シン・ハギュン、ペ・ドゥナといった主役級の俳優が、抑制された表現ながらそれぞれうまさと個性を発揮している。
ここ数年の韓国映画の高い水準を示す佳品ではあるけれど、観客を徹底的に突き放し、「砂を噛む」ような強烈な虚しさを感じさせる作品でもある。
ペ・ドゥナが惜しげもなく裸体をさらし、性交シーンを演じるけれども、ドゥナの乳房の美しさにもかかわらず、あまりエロチックではない。うーん、もったいないような。。