- 作者: 長部日出雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 新書
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評価:☆☆☆☆☆
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映画レビューの傑作.
一九五〇年代から六〇年代,映画が娯楽の王位にあり日本映画に元気があった時代の作品を中心に,監督ではなく映画スターから語り起こす日本映画史および作品紹介.時代の大衆が映画スターに投影していた心理について的確に言及し,スターを基軸に作品の魅力を記す筆力は相当なものである.また作者の映画狂ぶりもその文体から伝わってくる.スターの魅力の本質についての筆ののりよさは読んでいても心地よい.芸術性の強い作品よりもむしろ時代の世相を反映した大衆的傑作の紹介に重点が置かれている.
一章が男優篇,二章が女優,三章がいわゆる「演技派」の俳優の作品紹介にあてられている.
ここで著者がとりあげる作品の多くを僕は見ていないのだが,この痛快な映画紹介に強烈にこちらの鑑賞欲は刺激された.図書館とTsutayaでDVDを借りる楽しみが増えた.
しかし紹介された作品のなかで何より見たいのは,この希代の映画狂,長部日出雄が監督した『夢の祭り』(1989年)である.著者は『津軽じょんがら節』で直木賞を受賞した小説家でもあるが,この映画も津軽三味線の世界を扱った娯楽作品だとのこと.残念ながら現在まだDVD化されていない.