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精神病院閉鎖病棟という異世界を滑稽グロテスクな見世物として提示する部分とその地獄への入院を契機に退廃の底辺から再生へと向かう一人の女性の物語の二つの世界が描かれる。精神病院の「異常さ」の描き方はかなりステレオタイプな感じがした。
主演の内田有紀をはじめ、役者がそれぞれ個性を生かししっかりと自分の役柄を演じきっている。再生していく主人公には希望があるが、その希望とコントラストをなす病院の人々の終わらない地獄もしっかり対照させる残酷さがいかにも松尾スズキ的という感じがする。
現代の日本の都会で、ちょっとしたきっかけでずるずるとだらしなく零落・堕落していくさまのリアリティがとてもよい。自分もふくめほんとうに多くの人がぎりぎりのところで、なんとか落っこちずによたよたと生きているに違いない。