- 作・演出:前川友大
- 美術:土岐研一
- 照明:松本大介
- 楽曲提供:安東克人
- 音響:鏑木知宏
- 衣裳:今村あずさ
- 出演:小島聖、浜田信也、岩本幸子、奥瀬繁、盛隆二、緒方健児、日下部そう、森下創、宇井たかし
- 劇場:赤坂RED/THEATER
- 上演時間:1時間40分
- 満足度:☆☆☆☆
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イキウメ初見。
以下ネタバレあり。
カメラマンの助手をしている夫と別居し、友人と共同生活を送っていた妻が、友人の失踪の何日か後、別居先の工事のため一時的に夫が居候をはじめて何日か後に、自室で眠ったまま目を覚まさなくなる。
睡眠を続ける妻は病院に運ばれ入院するが目を覚ます様子は一向にない。
妻はその間、夢の世界にいた。夢の舞台は常に彼女が眠っていたベッドのある部屋なのだが、その部屋で過ごした他の人間の夢も彼女の夢の中に入り込んで行く。夢の世界は多層構造になっていて、彼女は夢の中で覚醒しているがゆえに現実世界で目を覚ますことができず、どんどん夢の世界の深層へと降りて行く。
自分が夢の中にいるという自覚のある人物による夢の話のため、夢の世界でありながら幻想的というよりはどこか冷めた、リアルで客観的な視点で世界が描かれているような印象をもった。この乾いた淡々とした感じが最初のうちは単調に感じられた。
夢の世界の多層構造やそこに他者の夢が侵入し、水面の波紋が重なりあうようにエピソードがからんでいく構成はとてもよくできているし、シンプルな舞台空間を照らす照明効果や音楽は洗練されてたものだった。ただそのまとまり具合がちょっと人工的に作り過ぎているような印象も持つ。
こうした達者な演劇的仕掛けよりむしろ、カメラマンの志望の夫がその夢をあきらめるにあたって、別居中の妻にうだうだと泣き言を言って甘えるのを、妻が受け止める、といった陳腐というか定型的な主題がきっちりと表現されていることが心に残る。小島聖の母性的なたしなめ方がとても雰囲気があっていい。
面白かったけれども、斬新さは感じなかった。満足度は中の上くらい。