- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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満足度:☆☆☆☆☆
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小説家としての山田風太郎とは相性があまりよくないのだが、明朗な虚無主義ともいえる人生観を感じる晩年の恬淡としたエッセイや対談集、そして戦中の青年時代に書かれた日記には大きな共感を覚える。
『育児日記』は長女が生まれた昭和29年から、その三年後の長男誕生、そして長女が中学一年になるころまでの、山田風太郎の育児観察記録の抜粋である。長女が結婚するときに、この『育児日記』を自家製本して渡したのだという。
山田風太郎は若い頃の日記からどこか既に老成した感があるけれども、育児においても恬淡で自然な姿勢は失われていなかったようだ。子どもへの愛情は十分に感じるのだけれど、日記に現れるその視線は観察的で、とりわけ子どもが話すことばに対して彼が関心を持っていたことがわかる。
私にも二人子どもがいて、山田家同様、一姫二太郎の組合せなのだが、私がこれまでこうした成長記録をほとんど残してこなかったことが本当に悔やまれる。山田風太郎の記述の数々に自身の子供との関わりの思い出が次々に蘇ってきた。そして現在七歳の長女、二歳の長男とのこれからの関わりを思い浮べた。
自身の育児を思いかべ、日記に描かれる子どもの行動のほほ笑ましさに思わず何度も笑い声をあげてしまった。そして過去の子どもとの関わりを懐かしく思い出し、何度も涙が流れ出た。
子どもを持つ親すべてに強力に奨めたい本である。