青年団リンク 本広企画
演劇入門
- 原作:平田オリザ
- 脚本:岩井秀人
- 演出:本広克行
- 美術:杉山至
- 照明:岩城保
- 音響:中村嘉宏
- 出演:山内健司、志賀廣太郎、永井秀樹、川隅奈保子、島田曜蔵、古屋隆太、古舘寛治、山本雅幸、荻野友里、桜町元、鄭亜美、中村真生
- 劇場:こまばアゴラ劇場
- 上演時間:100分
- 評価:☆☆☆★
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ツイッターの私のTL上では非常に評判のよい作品なので、大いに期待して観に行ったのだけれど私はそれほどいい作品だとは思わなかった。
脚本、演出ともに色んな工夫があってつまらないわけではなかったし、前半はそれなりに楽しんで見たのだけれど。
原作が平田オリザの「演劇入門」だが、実際には脚本を書いた岩井秀人のオリジナル作品と言ってもいい。もとより原作は戯曲でも小説でもない演劇論なので大幅な翻案は必至であり、どのような翻案をするのかを期待していた。翻案というより、「演劇入門」というタイトルから立ち上げた岩井秀人の演劇的自叙伝だった。岩井自身がカルチャーセンター、大学での演劇体験が戯画化され、そうした芝居くさい芝居への違和感が表明されたあと、岩松了の「静かな芝居」、そして平田オリザの「東京ノート」との出会い、自分の創作活動への影響が、劇中劇を交えて、表明される。ここに自分の作品のなかで描かれる自身の引きこもり経験、暴君としての父親への憎悪、対立の場面も挿入される。青年団芝居の素晴らしさを説きつつも、この作品の芝居自体は青年団俳優の「一軍」揃いにも関わらず、ニュアンスの乏しい粗く平板なものに感じられた。
翻案するにしてももっと原作に真正面から向き合った翻案を期待していたのだが。私の不満は平田の理論的著作にのっかったメタ演劇作品を作るにあたって、平田の弟子筋にあたる人間たちが平田の演劇論に正面からぶつかることを回避しているように私が感じた、という点に集約できるような気がする。こうしたずらし方はちょっとずるいなあと思う。ボスのことは語るのは難しい。自分語りにずらすことで平田オリザと対決することを巧妙に避けているような気が私にはした。
鄭亜美さんが可愛いらしさが印象に残る。