閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

無礼講 Break"O"

to R mansion
to R mansion - works - Parceria

  • 演出:上ノ空はなび
  • 音響:水谷雄治
  • 衣裳・銘句:中西瑞美
  • 出演:上ノ空はなび、野崎夏世、丸本裕二郎、松元治子、伊藤大輔
  • 劇場:座・高円寺
  • 評価:☆☆☆
  • 上演時間:60分
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to R mansionは女性三人、男性二人のパントマイムをベースとするパフォーマンス集団の公演。このグループは大道芸もやっていて昨秋上野公園でのヘブン・アーティストでそのパフォーマンスをちょっとだけ見た。やり始めたとたんかなり強い雨が降り出したために落ち着いて見ることができなかったのだが。
一昨年の冬に今日と同じ座・高円寺での舞台公演も観たことがある。そのときの演目は子供向けのミュージカル仕立ての作品だった。正直私はあまり面白いとは思わなかったのだけれど、子供はかなり喜んで見て、作品のなかで歌われていた《トイレット宇宙船》の一節を今でもたまに口ずさんだりしている。

今回の公演は昨年夏にフランスのアヴィニョン演劇祭のオフで好評を博した演目の改訂版だとのこと。アヴィニョン演劇祭では一ヶ月のロングラン公演を行ったようだが非常に評判がよくて後半は満員の日が続いたそうだ。

演者たちの見た目は派手で奇抜、舞台の雰囲気もキッチュでポップでとにかく勢いがある。『無礼講』は物語のない雑多でナンセンスなレビュー。騒がしくておもちゃ箱をひっくり返したような雰囲気の五〇分間だった。演じられたコントには部分的に面白いものもあったけれど、全体的には私は退屈してしまった。最後のほうはちょっと眠ってしまう。元気一杯で勢いのあるパフォーマンスではあるけれども、どの演目ものりが同じで単調に感じた。アイディアもそれほど斬新さは感じない。がちゃがちゃとうるさいけれど何をやっているのかよくわからないものもあったし。そして各演目の間に有機的なつながりが見えず、物語性に乏しい。華やかではあるけれど、こちらの想像力に訴える部分が乏しい説明過剰のパフォーマンスであるように感じられた。説明過剰だと感じながら何をやっているのかわからないというのは矛盾しているが。演技が想像力を喚起するというよりは、とにかく勢いで無理矢理観客をひっぱりこもうとしている感じが私にはした。そして私はそれにあまりのれなかった。雑だなあという印象が残る。子供の観客は大喜びしていたが。

演目本編よりその「前座」でスクリーン上に映し出された昨年のアヴィニョンでの公演の模様が興味深かった。毎年七月に行われるアヴィニョン演劇祭には私は20年ほど前に行ったきりだ。アヴィニョンの町自体もそれ以来行っていない。映し出される町並みの様子を見て当時のことを思い出した。懐かしい。