閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

CURE キュア

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=87887

  • 評価:☆☆☆★
                                                                            • -

黒沢清は自主映画を撮っている学生たちの間でやたらと評価が高かった.僕はこれまで洞口依子のヌード目当てで高校時代に観た『ドレミファ娘の血が騒ぐ』を観ただけ.どんな作品を作る監督かは気になっていたのだが,黒沢作品の中でも学生に特に人気のあったこの『CURE』はホラー映画ゆえに敬遠していたのだ.
ホラー映画が少々苦手.こちらをびっくりさせるような画像や音の仕掛けがいやなのだ.このところ人気の『呪怨』の系統はおそらく観ることはないだろう.
『CURE』は殺人シーンなどグロテスクなシーンはあったのだが,ホラーでも心理的にじわじわと怖いというタイプ.記憶喪失のいかにも虚無的な催眠術師の暗示による連続殺人事件という設定が秀逸である.そしてこの映画の演技でさまざまな賞をとった萩原聖人の無表情ととつとつとした語り口の怖さ.接触する人物人物がことごとくからみとられコントロールされていく過程の描写の緊迫感.
今更僕が言うまでもないが,丁寧に演出されたよくできた作品である.
でもやはりこうした恐怖ものは僕の趣味ではないなぁ.