閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

真夜中の弥次さん喜多さん

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レイトショーでの鑑賞.この劇場ではじめてチケットを買うために行列に並ぶ.閑散としているのが常態である広々としたロビーにもカップルなどのお客がぞろぞろといる.人が適度にいる映画館はやっぱり活気があるような感じでいい.というか普段は人がいなさすぎである.
弥次さん喜多さん』は300名ぐらい入る部屋.客の入りは1/3ほど.若いカップルが多かった.満員にはほど遠かったもののユナイテッド・シネマとしまえんでこんなに客の入った部屋ははじめて.
映画はシュールなナンセンス・ギャグ映画.B級のカルト・ムービーの素材を豪華キャストで丁寧に作ってみたという感じ.
ホモの弥次さん喜多さんは原作の設定だろうが,この設定も含め,意表をつくばかばかしいアイデアにあふれた傑作.特に気に入ったのは三途の川の不健康ランドの亡霊たちと三途の川の源流.泣き所の「よい台詞」が,設定のばかばかしさでことごとく異化されている.
薬とキノコという小道具が象徴するように,幻想とリアルのあいまいな境界を行きつ戻りつ浮遊する感覚で話は進む.グロテスクなおかしみに満ちた世界での旅の描写が軸.
幻覚感覚も江戸の世界も実体験や取材に基づいて構築したものではなく,すべて妄想力の産物なのだろう.こういった妄想遊びは徹底してディテールまで作り上げると面白い.

ただし後半はテンポが乱れ,だれた感じになる.もう少し短めでもよかったと思う.阿部サダヲの岡っ引き役が,作品の中でうまくはまらず,浮いた感じになってしまった.もったいない.
長瀬智也は異常にうまい.はまり役.素のぼけた味わいをうまく役柄に生かしている.