閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

Shall We ダンス?

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=152763

  • 評価:☆☆☆☆
                                                  • -

アメリカでのリメイク版のロードショーにあわせて,周防正行のオリジナルがテレビ放映された.この作品を見るのは3,4回目.娯楽作品の秀作であることは誰もが認めるところだが,僕自身とても好きな作品である.
映画館で公開は1996年.周防正行はこの作品の成功の後もう10年近く新作を撮っていないことになる.映画館で初演を観たときからこの作品は好きな作品だった.大学院修士課程を終えて博士後期課程の浪人時代である.
自身が中年となり,映画の中の主人公と年齢が近づいた今,映画の中での妻と娘とのぎこちない関係の描き方に注意を惹きつけられるようになった.娯楽作品ゆえできすぎのファンタジーである.しかし主人公が日常の中で蓄積させるもやもやとした焦燥感や無力感は,今の自分のほうがかつての自分より生々しく理解することができる.ご都合主義のファンタジーでありつつ,繊細に揺さぶられる主人公の心理描写には強烈なリアリティがある.